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競合店の影響を加味した販促エリアの定義

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O2O(Online to Offline)というマーケティング用語がありますが、小売業において、ネットや通販の顧客を自社が持つリアル店舗へ如何に送客するかという分析テーマが増えています。GIS(地図情報システム)では過去より顧客データを地図にマッピングし、地域統計データと重ね合わせてシェアの低い地域にエリア販促を行うための分析が行われてきました。リアル店舗への集客のための販促手段として、従来の折込チラシやポスティングだけではなく、最近ではオンライン広告も郵便番号単位でセグメントして配信できるようになっているので、ますます必要な分析ではないでしょうか?
今回は従来の分析手法に加えて競合店の影響をハフモデル分析によって加味した販促エリアの定義について解説します。

■現状を知る
通販の購買データ、ポイントカードの会員情報やID付きPOSデータなどによって顧客の位置情報を保有している企業が増えています。漢字住所や郵便番号が各顧客属性にあれば、地図にマッピングすることができます。
下記の図1はとある店舗の顧客データを地図に表現したイメージです。

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図1:来店分布マップ

ひとつひとつの点が一人ひとりの顧客の住所を表します。地形や交通インフラ、場合によっては競合店舗の配置によって複雑な分布となります。

■面に集計し、地域シェアを把握する
点の顧客分布は「見誤る」可能性もあります。というのは、2次元の地図に大量の顧客分布を表現しても、点の情報が重なるので、視覚的に多い/少ないが判別しにくくなるからです。
そこで下記の図2のように点の数(顧客数)を面(500mメッシュ)単位で集計、表現してみます。ただ、ここまでは顧客分布を地図に表現しただけ、つまり実績を見える化しただけです。
GIS(地図情報システム)に搭載されている地域統計データと重ね合わせることによって地域シェアが算出できます。ここでは500mメッシュ単位の人口総数と重ねてシェアを算出しました。
計算式は「500mメッシュ内の顧客数」÷「同じメッシュの人口総数」×100となります。

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図2:顧客分布をメッシュで集計し人口総数と重ね合わせたシェアマップ

図1では顧客が広範囲に散らばっているように見えていましたが、実際にはその大多数は店舗の足元に固まっていることがわかります。緑色の濃い地域(メッシュ)は人口総数に対して顧客数が多い、つまりシェアが高い地域ということです。

■競合の影響を加味する(ハフモデル分析)
シェアが高い/低いの原因のひとつに競合店という要素があります。競合店のほうが近い地域は自店よりも競合店に流れていくというのは感覚としてもあるかと思います。
そこで競合店の影響度を計る分析手法としてハフモデル分析があります。各地域から自店と競合店との距離と、自店と競合店の魅力値(今回は売場面積を採用)から店舗にどのくらい吸引できるかをシミュレーションする分析手法のことです。

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図3:ハフモデル分析イメージ

下の地図はハフモデル分析によって各メッシュから自店への吸引率を計算し、色塗りしたものです。赤色が濃ければ自店への吸引率が高いことを表します(図4)。

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図4:ハフモデルによる自店への吸引率分布

■理論と実績の乖離
先の図2は実際の顧客データを用いた現実の地域シェアでした。ハフモデル分析による図4が理論的な地域シェアだとしたら、理論と実績のギャップがある地域こそ優先的に販促するエリアと言えるのではないでしょうか?

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図5:実質シェアとハフモデルによる吸引率の重ね合わせ

上の図5は実績のシェアと理論値の吸引率の両方で色塗りした地図です。凡例の縦軸は実際のシェア値、横軸がハフモデルによる理論上の吸引率です。つまり凡例の右下、濃い緑色のエリアは実績と理論のギャップが大きい地域ということになります。

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