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実質年齢別人口増減分析~最新2015年国勢調査を用いて~

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日本国内に居住する全ての人を対象とした最大級のリサーチデータと言える国勢調査の最新版(2015年版)の小地域単位データベース(町丁・字等別集計)がリリースされました。今回は前回2010年版と最新2015年版を「実質人口増減分析」というテーマで比較してみました。


■実質年齢別人口増減分析とは?

新旧国勢調査を比較する目的の一つに、時系列の変化を知りたいということがあります。総人口の変化であれば単純に「2015年人口-2010年人口」という計算式となります。年齢別人口の変化を知る場合にはどうでしょうか?例えば20代前半(20歳~24歳)の変化を見る場合、総人口と同様に単純な「2015年20-24歳人口-2010年20-24歳人口」でも間違いではないですが、2010年当時、20代前半だった人は2015年には5歳年をとっているので20代後半になっているはずです。ここで「実質年齢別人口増減分析」という切り口があり、例えば20代前半の実質人口増減は「2015年20-24歳人口-2015年15-19歳人口」という計算式となります。

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■人口の流動性を知る

ある地域・商圏が人が流入してくるような場所なのか、流出している場所なのかを知ることも重要です。下のグラフ1をご覧ください。とある地方の地域の人口ピラミッドと人口増減数です。棒グラフは各年齢の実数を示しています。折れ線グラフは年齢別の構成比で、赤色は2010年、青色は2015年を表します。

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人口の流動性が低い地域では人口ピラミッドが5歳分スライドします。赤色と青色で丁度5歳分スライドしていることがわかります。この商圏は2010年当時居住していた人がそのまま2015年を迎え5歳年をとり、その間に外部から人口が流入するような変化がなかったと解釈できるでしょう。人口総数も大きな増減がありません。

下記のグラフ2ではどうでしょうか?先程のグラフ1とは別の都市型のいわゆる新興住宅街の人口ピラミッドです。赤色の2010年と青色の2015年では、人口の構造そのものが大きく変化しています。青色を見ると30代前後の親世代と乳幼児・児童の子供世代が突出しています。これは駅周辺の商業施設や住宅が新しく整備され、外部の地域から流入してきた世帯がこの層ということを示しています。外から人口が流入してきたので総人口も倍増しています。

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■全国の年代別人口流動性

このように、地域によって年齢別の時系列変化は異なり、商圏の構造・環境によって流出入の傾向にも差があることがわかりました。先の実質人口増減の計算式を全国の年代別人口に当てはめて計算したのが下のグラフです。横軸は年代で、縦軸は実質年齢人口増減率の標準偏差(ばらつき)です。縦軸の数字が高いということは人口流動性が高く、低いということは人口流動性が低いと解釈できます。

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ライフステージとして見ていくと、高校卒業をきっかけに人口移動が発生し、20~30代にかけて、大学卒業・就職による人口移動が加速し、30代以降の住宅購入(終の棲家)によって人口移動が収束していくと言えるのではないでしょうか?

新しい国勢調査データをこれまでの分析ロジックに当てはめていくタイミングかと思います。その際に、今回の実質年齢別人口増減分析という切り口も加えてみてはいかがでしょうか?
最新国勢調査の分析の切り口として「親子関係を読み解く」というテーマの別のコラムも掲載しています。是非ご覧ください。