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時間帯別人口から地域をクラスタリング

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店舗展開をしている企業にとって、その店舗の立地が朝型なのか昼型、夜型なのかということは出店判断、店舗施策を検討する上で重要な要素です。
前々回のマンスリーレポート(Vol.78号「スマホアプリのGPS位置情報から開発した「流動人口データ」のエリアマーケティング活用」)で、株式会社Agoopの流動人口データの活用についてご紹介しました。今回は時間帯別人口を用いて地域(メッシュ)をクラスタリング(分類)します。

立地を定義するひとつの軸

チェーン企業の店舗開発において、出店候補地や既存店の商圏を読み解き理解する際、様々なGEOデータが活用されています。基本的な指標としては周辺の居住者(夜間人口)や勤務地・通学地(昼間人口)、買い物人口(商業人口)などがあります。
一方で、生活者の消費行動の多様化に伴って従来の基本的指標だけでは商圏の理解が困難になってきており、また分析者の分析ナレッジの蓄積も進み、より詳細・精緻な分析を行う必要性が生じているの現状があります。
店舗は開店から閉店まで来店客が一定ということはなく、混む時間帯とそうではない時間帯があるでしょう。店舗が存在する商圏内の人のボリュームがいくらかだけではなく何時に多いのかを知っておくことは、店舗の施策立案や実行時の最適化になりますし、そもそもの立地判断にもつながります。
下のイメージ写真をご覧ください。それぞれ明らかに立地が異なります。朝の通勤、休日の買い物、夜帰るところ(住宅)というイメージかと思います。そこには「朝」「休日」「夜」という時間軸があります。

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ここからは時間軸で立地を定義する手法をご紹介していきます。

対象エリアとデータイメージ

今回は福岡県福岡市を対象エリアとします。下の地図の青い線の範囲が福岡市です。福岡市内の500mメッシュを時間帯別人口によって分類してみます。
時間帯別の人口データ(流動人口データ)は日本全国の500mメッシュ単位(又は100mメッシュ単位)でデータがセットされています。メッシュというのは国の規格で、日本全国を緯度経度で四角いマス目に分割した地域単位のことです。下の地図のようにそれぞれのメッシュに時間帯別の人口が収録されています。

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実際のデータは以下の表です。縦軸は福岡市内のメッシュリスト、横軸は時間帯別の人口です。福岡市に含まれる500mメッシュは約20,000件でした。

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クラスター分析

クラスター分析とは様々な性質が混ざり合っているデータから、似たもの同士を集めて分類する統計解析のひとつの手法です。今回はメッシュごとの時間帯別人口の波形パターンが似たものは同じグループにするようなイメージです。一口にクラスター分析といっても階層型・非階層型という複数のやり方があり、何をもって似ているかという「データ同士の距離の取り方」も様々です。今回は商圏分析GIS「MarketAnalyzer™」に搭載されているクラスター分析機能で非階層型を用い、距離の取り方は代表的なユークリッド距離を使用します。分類数は5分類(5クラスター)としました。メッシュごとにクラスター1からクラスター5のいずれかのコードが付与されます。

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クラスター分析結果の地図表示

クラスターコードで福岡市の地図を表現したものが下の地図です。地域が分割されていますが、同じ色は同じクラスターを表し、時間帯別の人口パターンが似ていることを示しています。

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クラスターの解釈

次にそれぞれの地域・クラスターがどういう立地特性なのかを解釈していきます。下の表は5つのクラスターごとに平日/休日別の時間帯別人口をサマリーしたものです。数字はスコアで、赤は高い、緑は低いと読み取ります。例えばクラスター4(CL004)は他のクラスター、他の時間帯と比べて平日の夜がピークの立地です。つまり住宅街的傾向と解釈できます。このようにして各クラスターの名称も付けました。

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終わりに

クラスター分析によって地域や商圏を分類する手法や過去より分析実務レベルの取り組みが進んでいます。店舗コンセプトの立案やキャンペーン成功事例の横展開、出店判断などのシーンで活用されています。ある店舗の成功事例を同じ立地パターンの店舗で実施するという具合です。
小売・飲食業のチェーン企業にとってその際の軸として時間帯別人口も組み入れてはいかがでしょうか?