top

menu

ハフモデルの限界と分析のポイント

ハフモデル

店舗展開をしているチェーン企業における商圏分析において、店舗商圏内の市場ボリュームを的確に捉え、現状を把握する必要性が高まっています。
その際に、商圏内の競合店舗の影響度をどう測定するかが課題となります。そのための分析手法として「ハフモデル分析」への取り組みが増えてきています。一方でハフモデル分析という分析手法には限界があると言われています。今回のコラムではハフモデル分析を成功させるためのポイントをご紹介します。

 ハフモデルとは?

アメリカの経済学者デービット・ハフ博士が考案した商圏算出モデルです。商圏分析の代表的手法の一つで、商圏内の各地域から競合店舗の位置や影響度を加味して、自社店舗にどのくらい吸引できるかをシミュレーションするモデルです。新規出店時の商圏調査や売上予測に用いられてきました。

1

【ハフモデル概念図】

  ハフモデルの計算ロジックをわかりやすく言えば、店舗への吸引率は大きく2つの要素で決まります。1つ目は各地域から店舗への「距離」です。遠いお店より近くのお店に行くということです。2つ目は自社店舗と競合店舗が持つ「魅力値」です。上の図では各店舗の売場面積が魅力値に該当します。

 GIS(地図情報システム)によるハフモデル分析イメージ

ハフモデル分析は距離の計測などが必要なため、GIS(地図情報システム)との相性が良く、GISの分析機能として搭載されています。

2

【GISハフモデル分析イメージ】

  上の図は商圏分析GIS「MarketAnalyzer™」でのハフモデル分析結果です。地図上の青い▼が自社店舗で、青い●が競合店舗を表します。赤い濃淡の色塗りは500mメッシュ単位で自社店舗への吸引率です。赤い色が濃いほど、そのエリアから自社へ吸引できるということです。右上の表は各メッシュの世帯数や消費額に吸引率を掛け合わせて商圏全体で合計した値です。ここでは、商圏全体の世帯数は354,544世帯だが、自社店舗へ吸引できる世帯数は72,889世帯となっています。実際に商圏には35万世帯以上いるが、競合の影響を考慮すると市場のMAXとしては7.2万世帯ということがわかります。

 ハフモデルの限界

ハフモデルの計算は複雑ですが、GISに組み込まれているので分析作業自体はそんなに手間はかかりません。では実際に売上予測などの実務に使えるかというとそんなに簡単な話ではありません。ハフモデルの限界と述べましたが、分析を成功させるには、押さえておくべき3つのポイントがあります。

3

 ①魅力値の設定
 ハフモデルでは魅力値と距離が分析要素と説明しました。「魅力のある店舗に人は引き寄せられる」という当たり前のことですが、自社と競合の両方の魅力を同じ基準で数値的に投入しなければいけません。これまで魅力値として売場面積が一般的に使われてきましたが、大きい店舗だけが良いという時代はとうの昔に終わっています。売場面積だけではなく、その他様々な要素が複合的に合わさって店舗の魅力が定義される時代です。様々な要素を投入しなければ精度が向上しないのです。また、売場面積や駐車場台数というような「量的変数」だけではなく、「質的変数」も店舗の魅力には大きく影響します。例えばコンビニエンスストアでは、同じ面積の店舗でもブランドによって大きく売上が異なります。業界1位と2位では日販が10万円以上も異なるのです。

 ②距離抵抗の考え方
 「近いお店に引き寄せられる」というハフモデルのもう1つの分析要素ですが、お店に何を買いに行くかによって距離の重みが変わってきます。例えばタバコを買いに行こうと思った際、間違いなく最寄りのコンビニや販売店に行くでしょう。わざわざ電車にのって遠くの町のタバコ屋さんに行く人はいません。一方で、ファッションなど嗜好性の高い商品の場合には多少遠くてもお気に入りのお店やエリアに買物に行くと思います。服であれば何でも良いという訳ではありません。このようにそれぞれのシーンにおいて、距離という抵抗要素は変わってきます。

 ③トライ・アンド・エラーの必要性
 新規出店時の商圏調査や売上予測を行う前に、まずは既存店でハフモデル分析を行うことをオススメします。売上実績がわかっている既存店でハフモデルを行うことによって、どのような魅力値や距離抵抗の設定が当てはまるかを試せるからです。逆に言えば、当てはまるように各種設定をトライ・アンド・エラーで試行錯誤する必要があります。

終わりに

今回はハフモデルについて簡単に解説しました。これまでハフモデル分析を行ったがしっくりこなかったという企業もあるかと思います。ハフモデルの考え方自体は競合の影響を加味したいという昨今の商圏分析トレンドに対応できるものですが、これまで魅力値は売場面積のみ、距離抵抗は一律という間違った固定観念にとらわれていたのではないでしょうか?本コラムでは詳細については触れていませんが、再検討するきっかけになってもらえれば幸いです。

商圏分析・エリアマーケティングについての情報

無料事例紹介セミナー
雑誌掲載記事
調査レポート